虫歯はなぜ起こる?
元々人間の口の中には300種類~700種類もの細菌が潜んでいます。実は虫歯の原因である菌もここに潜んでいるのです。虫歯の原因と言われる菌の一つにミュータンス菌というものがあります。ミュータンス菌は食べ物に含まれる糖分を栄養にしながら増殖していくのです。さらにミュータンス菌は増殖するとともに、プラークと言われる住処を歯の上に形成します。プラークを完成させるとミュータンス菌はその中で『酸』を作り出します。ここで生まれた酸で歯を溶かしていくのです。こうして人間は虫歯が起こります。
では、ミュータンス菌を持っている人しか虫歯にならないの?と思いますよね。ですがミュータンス菌は常在菌としてほとんどの人が持っているのです。そのため、全員が虫歯になることはありません。また、虫歯の原因はミュータンス菌だけではなく、『糖分』『プラーク』『歯の質』の要素や時間の経過も関係していくのです。
虫歯の進行段階
虫歯は進行し、進行段階はCO~C4の5段階に分けることができます。
C0
【状態】
COは虫歯初期を表します。正常な歯の独特のエナメル質の表面が脱灰し、茶色や白に変色し始めている状態です。
【治療法】
虫歯の初期段階なので歯を削る必要がありません。進行の予防としてはフッ素塗布や日常的なフッ素入り歯磨き粉を用いたブラッシング・リカルデントガム・キシリトールガムなどを摂取し、歯を再石灰化させる方法があります。
C1
【状態】
歯の表面に穴が空き始めた状態。歯のエナメル質は刺激をあまり感じることはないので傷みを伴いません。しかし、何か冷たいものを飲んだり食べることで染みることはあります。
【治療法】
C1の段階に来たら歯を削る作業が必要です。う蝕している部分を削ってダイレクトボンディングで修復する方法や、虫歯の状態によってはインレー(詰め物)で修復する治療法があります。
ダイレクトボンディング種類 | |
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保険適応 | コンポジットレジン (プラスチック) |
自己負担 | ハイブリットレジン (ハイブリットセラミック) |
C2
【状態】
既に虫歯が進行し、エナメル質の下の象牙質まで達してしまった状態です。刺激をしなければ痛みを伴うことはありません。しかし、冷たいものや温かいものでしみることはあります。
【治療法】
自覚症状として痛みは伴いませんが、治療時に痛みを感じることがあります。そのため通常麻酔を使用して治療します。C1と同じように、う蝕している部分を削った後は、ダイレクトボンディングで修復するかインレー(詰め物)で治療する事がほとんどです。
C3
【状態】
象牙質からその奥にある歯髄に虫歯が到達した状態です。歯髄に到達すると。炎症を起こすのでズキズキとした激痛が起こる場合があります。
【治療法】
歯を削るだけではなく歯髄(神経)の除去や根の治療(根管治療)が必要です。根管治療をした場合にはクラウン(かぶせ物)で修復します。
インレー・クラウン種類 | |
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保険適応 | 金属 CAD-CAM |
自己負担 | ハイブリッドセラミック 100%セラミック ジルコニア |
C4
【状態】
虫歯が進行し、末期状態。歯のほとんどが崩壊しています。歯が溶けている為、外から見ると歯があるのかないのか分からない状態です。
【治療法】
保存治療が可能であれば、歯髄(神経)の除去や根の治療(根管治療)を行います。C3と同じように、根管治療ではクラウン(かぶせ物)を使用して修復していきます。
もし、保存治療が出来ない場合は、抜歯を選択するしか方法はありません。インレーやクラウンはここでは意味を果たせないからです。抜歯をした後は、ブリッジ・インプラント・部分入れ歯などで修復します。
当院の治療
痛みの少ない治療
当院では痛みの少ない治療を行っています。以下の手順で進めます。
- 注射時の患者様の痛み軽減のため、麻酔薬と体温を同じくらいに温める
- 患部表面に麻酔薬を塗り、痛みを感じなくする
※電動注射器の場合は、麻酔薬を打つスピードをゆっくりに保ち、痛みを感じないようにします。
個人差はありますが、注射ですらわからなかったと感じる方もいますので安心してください。
ドッグベストセメント治療
一度歯を削ってしまうと、取り戻すことはできません。詰め物などでの修復は可能ですがなるべく当院では歯を削らない治療を心掛けています。こうした治療がドッグベストセメント治療です。歯を削ることなく虫歯の菌を無菌化する方法です。
具体的には半永久的な抗菌作用のあるドッグベストセメントという特殊なセメントを患部に詰め込むと完全にむし歯を除去しなくても虫歯を無菌化することができます。広範囲にわたる虫歯の場合にも可能で、神経などを取り除く事なく治療に取り掛かれます。
根の治療
症状 | 対策 |
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炎症を起こした歯の神経がズキズキ痛む | 虫歯が進行すると歯髄に達して炎症を起こした神経がズキズキと痛みます。この状態だと早急に歯髄を取り除く治療が必要です。その後空洞になった根管を消毒し、薬を詰めます。 |
神経をとった歯なのに、噛むと痛い、ズキズキと痛む | 神経を取った歯が痛む場合、根の奥で細菌が繁殖して炎症が起きているのです。炎症を抑えるために根の治療を行い内部を消毒します。 |
歯の根の先に膿が溜まっている | 神経を取った歯や神経が死んでしまった歯の根っこの先端には、膿が溜まる場合があります。膿の原因は内部の細菌が増殖し根管の外部に膿が溜まっているので痛みによって気がつくことがあります。放置すると悪化するので、根の治療を行います |
歯茎にできものができる | 歯茎にできものができる場合は、歯の先端に溜まっていた膿が、歯茎の外に膿の出口を作っている可能性があります。レントゲンで患部を確認し、膿が溜まっていれば、治療をします。 |
歯茎が腫れている | 根の先端の膿溜まりが原因で、歯茎が腫れる場合は根の治療を行う必要があります。 |
治療手順
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根管内のものを除去する
神経を取ったことがない歯のであれば、麻酔をして神経と歯髄を取り除きます。神経を取ったことがある場合は、詰め物や被せ物を取り外し、根管内部の薬も取り除き、治療をします。
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根管の壁を清掃
根の奥に膿が溜まっている場合は、膿が取り除けるように根管の内部をリーマーやファイルと呼ばれるギザギザの付いた針のような様々な太さの器具を使って清掃します。
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根管の内部の消毒
根管内部を清掃したら消毒をします。症状がなくなるまで内部を消毒します。
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根管に最終的な薬を詰める
症状を感じなくなったら再度細菌が侵入しないように根管内部に薬を隙間なく詰めていきます。
治療手順
神経が残っている歯の場合、麻酔をする為痛みはありません。しかし、神経の炎症がひどい時には麻酔があまり効かないので痛みを感じる方もいます。また、神経が死んでいる歯、神経がない歯の場合は麻酔をせずとも痛みが出ないのですが根の先端だけ神経が残っている場合には、麻酔をして治療を行います。
治療後の修復
根管治療を行った歯には治療後に補綴物を被せます。補綴物を長く、外れにくくし、細菌の再侵入・再度う蝕してしまうことを防ぐために、当院では補綴物とその接着にこだわりがあります。
接着のこだわり
エッチング
酸化処理剤を使い歯の表面を少しざらつかせます。後に塗布する接着剤の食いつきがよくなります。
コンディショナー
象牙質という歯の組織には象牙細管という小さな穴が空いています。しかし治療を行うとこの穴に微細な切削片が入りこんでしまい接着効果が薄れるのです。そのため、特殊な薬剤を接着までのステップの一つとして取り入れ強度の接着を実現しています。
プライマー
最初にざらつかせた表面に塗布することで、接着剤と表面の密着性の効果をあげて馴染みをよくします。
ボンディング
ボンディングは歯とレジンを接着する糊の役割を果たします。当院で使用しているボンディングで使用しているボンディング剤は通常のものに比べ薄く伸びる特性があり、接着面をより滑らかに整える効果があります。当院で使用しているものは通常のものと違い光が当たっていない箇所があっても、自然に硬まります。一般的なものは光を当てないと硬まりません。光が当たらなくても硬まるため時間が経つとさらに十分な強度を発揮することができます。
保険の銀歯による再発頻度とは?
虫歯治療で詰め物で修復した場所に虫歯が再発することを二次虫歯と呼びます。なぜ虫歯治療のために詰め物をしたのに虫歯になるのでしょうか?それは、詰め物の銀歯の素材にあります。
銀歯は保険適応であり最もポピュラーな治療方法ですが、銀歯は審美性が悪いだけでなく、材料の質はあまり良いものではありません。銀歯の素材は本来歯とくっつかない素材のため、歯との接着の相性が悪いのです。
そのため、年数を重ねていくと接着部分がはがれやすくなってしまいます。この隙間に虫歯の原因となる菌が侵入して二次虫歯になるのです。
セラミックで解決
二次虫歯にならないためにはセラミックの詰め物をしっかりと接着することです。セラミックは長持ちするだけではなく歯との隙間が生まれにくい特徴があります。また、歯垢が付着しにくい特徴もあるので歯を清潔に保つことができます。
歯を毎日磨くとは思いますが、私たちの食事の中では虫歯の原因となる糖質を摂取することがほとんどです。そのため虫歯になりやすい環境下にある為、定期的に検診を受けましょう。